全部自分の声じゃなかった?思考を擬人化してみると見えてくること
「こうしなきゃダメだ」「そんなことしてる場合じゃない」「ちゃんとしなきゃ」
ふと頭に浮かぶ、そんな声たち。ずっとそれが“自分の本音”だと思っていませんでしたか?
でも実は、その中には親からの刷り込みだったり、世間の常識だったり、「こうあるべき」と教え込まれた誰かの価値観が混ざっていることがよくあります。つまり、“自分で選んだ”と思っていた思考の中に、自分じゃない誰かの声が潜んでいるんです。
そんな時にオススメなのが、自分の中の声たちを擬人化して名前をつけてあげること。
たとえば、こんな風に。
げんちゃん(現状維持)変化が怖くて、「いつものやり方が安心」と守りたがる存在。やたら不安を煽ってくる。
けんちゃん(顕在意識)理性や常識に従って、慎重になろうとする存在。「今はまだ早いよ」とブレーキをかける。
せんちゃん(潜在意識)本音や好奇心、ワクワクに従いたい、自由でのびのびした存在。「ほんとはこれやりたいのに!」と訴えてくる。
ちーちゃん(直感・魂の声):本質的な気づきや導きを与えてくれる存在。助け舟やヒントを外から引き寄せる天才。
擬人化すると何がいいかというと、客観的に自分の中の対立や混乱を見られるようになるんです。
「これって、げんちゃんの声だよね」
「けんちゃんが慎重になってるだけか」
「せんちゃん、今日はどんな気持ち?」
こうやって自分の中で“会話”をしていくと、「これは採用しなくていい思考だったな」と冷静に判断しやすくなります。
思考を一度、自分から切り離して見る。
これが、自分を責めすぎずにラクになる最初のステップです。
採用するのは“快”だけでOK。不快は「いらないよ」と言い聞かせる
思考がぐるぐるして苦しくなったとき。
「この考えって本当に自分の本音?」と立ち止まってみると、案外「快じゃない」ものだったりします。
ここで大事なのは、とてもシンプルな判断基準。
それは 「快か? 不快か?」
快(心地いい・ホッとする・ワクワクする) → 採用!
不快(苦しい・怖い・罪悪感・焦り) → 採用しない!
この基準で選んでいいんです。
難しい理屈や、過去の経験、他人の意見を挟む必要はありません。
でも、「そうは言っても、頭が勝手に不快なことばかり考えてしまいます…」という方も多いと思います。
それも当然です。なぜなら、不快な思考は長年のクセや、げんちゃん(現状維持意識)によって、自動的に流れてくる“パターン”だから。
ここで登場するのが せんちゃん(潜在意識)です。
せんちゃんは、あなたの「心地よさ」や「本音」をちゃんと知っている存在。
このせんちゃんに、繰り返し 「今の思考は採用しなくていいんだよ」と優しく言い聞かせてあげてください。
何度も何度も、脳が納得するまで。
たとえばこんなふうに
「また不安が出てきたね。でもこれは採用しないでいいやつだから大丈夫」
「なんかモヤモヤするな。OKOK、これは快じゃないから流そう」
「せんちゃん、安心して。これは気にしなくていい思考だよ」
すると、だんだん脳がこう学習していきます。
「これはもう、採用しないって決めてたんだよね」と。
言い聞かせる回数が、未来の快をつくる回数です。
“採用しない習慣”が脳を変える。気づいたら軽やかな自分に
「これは採用しない」
「快だけを選ぶ」
このシンプルな行動を、ただコツコツと繰り返す。
たったそれだけで、脳はちゃんと変わっていきます。
脳には、よく使う回路をどんどん強化して、使わない回路を自然に消していく【可塑性(かそせい)】という性質があります。つまり、「不快な思考を採用しない」回路をせっせと使い続ければ、勝手に“快を選ぶ脳”になっていくのです。
可塑性とは
【たとえば、こんな感じです】
・毎日ピアノを練習している人は、「ピアノを弾く回路」が強くなる。
・何度も不安なことを考える人は、「不安になる回路」が強くなる。
・「大丈夫だよ、快を選ぼう」と何度も言い聞かせている人は、「安心する回路」が強くなる。つまり、脳は“使った通りに育つ”という性質があるんです。
【粘土みたいなイメージ】
「可塑性」はもともと、粘土やプラスチックなどが自由に形を変えられる性質のこと。
脳もまさにその通りで、何歳からでも形を変えられる“粘土みたいな器官”だと思ってください。【だから希望が持てる!】
「私、ずっとネガティブだから変われない…」という人も大丈夫。
ネガティブな思考を“使わない”ようにして、快の思考を“使う”ようにしていけば、
脳の形も、自分の感じ方も、自然に変わっていくんです。それが「脳の可塑性」の力。
あなたが今日どんな思考を“採用”するかで、未来の自分が作られていくということですね。
最初のうちは、「でもこれも大事な思考じゃない?」「こんなに気になるのにスルーして大丈夫?」と、けんちゃん(顕在意識)が心配してきたり、げんちゃん(現状維持)が「いつも通りが安心だよ〜」と騒いだりするかもしれません。
でも大丈夫。
せんちゃんにとって心地いい選択を繰り返していけば、自然とその声は小さくなります。
不快な思考にひっぱられる時間が減っていき、心が静かで、軽やかな時間が増えていくのを実感できるようになります。
気づいたら、
「前はあんなに悩んでたのに、今はそんなに気にならない」
「これ、スルーでOKって思えるようになってきた」
そんなふうに変化している自分に出会えるはずです。
大切なのは、「一気に変えよう」としないこと。
毎日の中で、ただ一つひとつの思考を「採用するかしないか」で選んでいく。
それだけで、未来のあなたの“当たり前”が変わります。