脳はいつも通りに戻したがる
― 現状維持機能「ゲンちゃん」の仕組み
私たちの脳には、
「できるだけ今まで通りでいさせよう」とする働きがあります。
私はこれを親しみを込めて「現状維持機能のゲンちゃん」と呼んでいます。
ゲンちゃんは悪者ではありません。
むしろ、私たちを守るためにとても真面目に働いています。
・いつもの道
・いつもの足の運び
・いつもの手の動き
・いつものスピード
考えなくてもできるようにして、
エネルギーを使わず安全に生きられるようにしてくれている。
ただ、この「いつも通り」が続きすぎると、
人生そのものが流れ作業になっていきます。
気づいたら一日が終わっている。
気づいたら、なんだかついていない気分になっている。
大きな不幸があるわけじゃないのに、
「最近いいことないな…」という感覚だけが残る。
これ、運が悪いわけではありません。
今という瞬間を、ほぼ無意識で通過している時間が増えているだけなんです。
ゲンちゃんは、
「いつもと同じスピードでいいよ」
「考えなくていいよ」
「早く次に行こう」
と、私たちを急かします。
だからこそ大事なのは、
ゲンちゃんを止めようとすることではなく、
「あ、今いつも通りになってるな」
と気づくこと。
ここで初めて、選択肢が生まれます。
・いつもより、ゆっくり歩いてみる
・雑に済ませがちな動作を、少しだけ丁寧にする
・手の動き、呼吸、今やっていることに意識を戻す
それだけで、
脳は「今ここ」に戻ります。
丁寧な暮らしというのは、
生活を完璧に整えることでも、
おしゃれにすることでもありません。
無意識のスピードから、意識のあるスピードへ戻すこと。
これができ始めると、
人生の手応えが変わってきます。
「ついてない」と感じていた理由が、
実は運ではなく、
“流れ作業で生きていた時間の長さ”だったことに気づくはずです。
「ゆっくり・丁寧に」するだけで
暮らしと流れは勝手に整い始める
丁寧な暮らしというと、
「時間がある人がやるもの」
「余裕がないと無理なもの」
そんなイメージを持っている方も多いかもしれません。
でも実は、丁寧さは
何かを増やすことでも、頑張ることでもありません。
ただ一つ、
スピードを少し落とすだけです。
いつもと同じ動作でもいい。
同じ家事、同じ仕事、同じルーティーン。
そこに
「ゆっくり」「意識を向ける」
これを足すだけで、世界の手触りが変わります。
例えば、
ドアを閉めるとき。
スマホを置くとき。
包丁を持つとき。
いつもなら、次のことを考えながら
無意識にやっている動作を、
一つひとつ“見ながら”やってみる。
それだけで、
脳は「今ここ」に戻り、
心は落ち着き、
不思議と雑音が減っていきます。
すると何が起こるかというと、
ミスが減る。無駄が減る。回り道が減る。
結果として、
「丁寧にやっているのに、なぜか早く終わる」
という現象が起き始めます。
これ、実感するとかなり驚きます。
バタバタ急いでいた時ほど、
忘れ物をしたり、
二度手間になったり、
人とのやり取りが噛み合わなかったり。
逆に、
一つ一つを丁寧に扱っている日は、
物事がスムーズにつながっていく。
これは偶然ではありません。
丁寧さ=今に没頭している状態だからです。
「今」に意識があるとき、
私たちは現実とズレません。
ズレないから、
余計な修正が起きない。
だから流れが整う。
これが、
「丁寧に生きると、なぜかうまくいく」
と言われる正体です。
まだラッキーは起きていなくても大丈夫。
この段階では、
“整い始めている”だけで十分です。
「本当はこうすると良くなる」を
無視しない生き方が、ラッキーを連れてくる
日常の中で、こんな瞬間はありませんか?
「本当は、このひと手間をかけたほうがいいんだよな」
「こうしたほうが、あとが楽なんだよな」
でも同時に、
「まあ、いつも通りでいいか」
「時間ないし」
「今はそこまでしなくても」
そうやって、その小さな声を流してしまう。
これは怠けているわけでも、
愛が足りないわけでもありません。
ただ、現状維持機能のゲンちゃんが
“いつも通り”を選ばせているだけです。
例えば料理。
本当は、
少し下ごしらえをすると
ぐっと美味しくなると分かっている。
でも、
子どもたちはお腹を空かせているし、
家族も待っているし、
今日はもうこれでいいや、となりがち。
そこで一度だけ、
その心の声に従ってみる。
少しだけ丁寧に、
下準備をして、
意識を向けて作ってみる。
すると、
「今日のごはん、めっちゃ美味しい」
そんな一言が返ってくる。
それだけで、
場の空気がふっと緩みます。
子どもたちの機嫌もよくなり、
その後の準備や片付けもスムーズに進む。
結果として、
丁寧にやったのに、全体の流れは早く終わる。
そして何より、
全員の気分がいい。
誰も損をしていない。
むしろ、全員が得をしている。
宇宙の法則って、
実はこういう形で働いています。
大きな奇跡や派手な引き寄せではなく、
小さな尊重が、心地よい連鎖を生む仕組み。
「本当はこうすると良くなる」という声は、
あなたを縛るものではありません。
あなたを楽にするためのナビです。
その声を拾って行動することは、
自分を大切に扱うということ。
自分を尊重し始めると、
現実も不思議と協力的になります。
だから、
「最近ついてないな」と感じたときほど、
運を上げようとしなくていい。
ポジティブになろうとしなくていい。
ただ一つ、こう言ってみてください。
「今、目の前にあることを丁寧にやってみよう」
その選択を重ねていくと、
「ついてない」という言葉自体が
だんだん使われなくなっていきます。
気づいたときには、
ラッキーはもう、
外から来るものではなくなっている。
あなたの内側から、
いくらでも生み出せるものになっています。

