自分の役割と他人の期待
今日は公式ラインにいただいたご相談をもとに「親としての関わり方に悩む気持ち」について考えてみたいと思います。
その方は、これまで家族のために一生懸命生きてきました。
けれど最近、心の中にずっとモヤモヤがあることに気づいたそうです。
というのもお子さんが“親の関わりが深い競技”をしていて、父母会など親の参加が当たり前の雰囲気。
でも、ご自身やご主人はその競技経験がなく、体力的にも精神的にも、深く関わりすぎるのがつらい。
特に、泊まりがけで応援に行ったり、飲み会に参加するようなスタイルには無理を感じているとのことです。
もちろん、子どもを応援したい気持ちはある。
でも、「すべてを捧げる」ような関わり方に違和感があり、父母会の空気に本音を言えないのが苦しい…。
さらに、自分が高校生だった頃、家族がが精神的に不安定になった経験も影響していて、
「自分の気持ちを我慢しすぎると壊れてしまう」そんな思いがあるそうです。
子どもを思う気持ちと、自分の心の声。
その間で揺れながら、「あと数年、どうやってこのモヤモヤと向き合えばいいんだろう…」と悩んでいます。
こんなふうに、自分を大事にしたい。でも、家族も大切にしたい。
そのバランスに悩む方、多いのではないでしょうか。
このご相談に対して「どうすれば自分を犠牲にせず、心地よく関われるか」を一緒に考えていきます。
「不安で気をもむ」本当の原因はどこにある?
「子どものためにしていることなのに、なぜか心が重い」
「応援したいのに、どうして私はこんなに疲れるんだろう?」
——そんなふうに感じている方は、とても多いのではないでしょうか。
今回ご相談いただいた方も、お子さんの頑張る姿を応援したい気持ちは十分にある一方で、
「周囲の空気」「求められる親の姿」「本音を言いにくい関係性」に、心がすり減ってしまっている状態でした。
モヤモヤの原因は、“気持ちのやり場”にある
自分の中で「これくらいの関わりがちょうどいい」と線引きができていたとしても、
その“選択”を受け入れてくれなさそうな空気や期待を感じると、人は不安になります。
「本当はやりたくないけど、行かないと浮くかも…」
「飲み会に出ないと、子どもに影響があるかも…」
そんなふうに、“起きていない未来”にまで気をもんでしまう。
ここが、心の疲れの正体です。
「応援=全部やること」じゃない
親としてできることと、周囲の期待は、必ずしも一致しません。
でも、「自分ができる範囲」で愛情を示すことが、本当の意味での応援につながります。
だからこそ、
「自分の気持ち」と「他人の期待」は分けて考えることが必要なんです。
この気疲れは、「やれること」ではなく、「どう見られるか」に対する不安から生まれているもの。
それに気づくことで、心にスペースができます。
自分の中にある“境界線”を見直そう
モヤモヤの原因が「自分の課題」と「他人の課題」の混同にあると気づいたら、
次に大切なのは、“どこまでが自分の責任で、どこからが他人の問題か”という境界線を引くことです。
この考え方を心理学では「課題の分離」と呼びます。
自分の“課題”はどこまでか?
たとえば今回のケースで言えば——
応援の気持ちを持っていること
できる範囲でサポートすること(近場の試合には行く、声をかける など)
子どもと丁寧にコミュニケーションを取ること
これらは、あなた自身の課題。自分で選び、決めていくことができます。
一方で、
父母会の空気
他の保護者の価値観や態度
自分が関わらないことで子どもがどう見られるか
これは他人の課題。あなたがどんなに気を配っても、完全にコントロールできるものではありません。
“気をもむ”ときは、境界線が曖昧になっているサイン
誰かの期待や圧力に応えなきゃと感じてしまうとき、
「それは本当に私の責任?」と一度立ち止まって問いかけてみてください。
✔ 自分がやりたいからやるのか?
✔ 周りの目が気になるからやっているのか?
✔ 本当に引き受ける必要があるのか?
この問いかけが、曖昧だった境界線をハッキリさせ、心の疲れを防いでくれます。
自分の“責任の輪”を小さくすることで、心は軽くなる
あなたが関われるのは、「あなたの意志で選べること」だけ。
それ以上のことを抱え込むと、どんどん苦しくなります。
だからこそ、「ここから先は相手の課題」と手放すことが、自分を守ることにつながるのです。
「私は私」から始まる、無理のない応援スタイル
「課題の分離」で自分の境界線がはっきりすると、
「どこまで関わるか」「何をやるか」を自分で決めることができるようになります。
これができると、
無理なく、気持ちの良い応援スタイルが自然と見えてきます。
できないことは、やらないと決める勇気を持とう
親として、周囲の目を気にして「全部やらなきゃ」と思い込むことはよくあります。
でも、本当に大事なのは「あなたが続けられる範囲で応援すること」。
泊まり込みの応援や頻繁な会合への参加など、苦痛に感じることは無理に引き受ける必要はありません。
「できないことはやらない」とは、自分を大切にすること。
伝わるのは「形」より「思い」
応援は、ただ場にいることや役割をこなすことだけが全てではありません。
子どもは親の「思い」を敏感に感じ取ります。
あなたが心から応援している気持ちを、言葉や態度で伝えることが大切。
たとえ応援の形が周囲と違っていても、その誠実な気持ちは必ず伝わります。
応援とは「相手の人生を信じて見守ること」
無理をして役割を背負いすぎると、いつか息切れしてしまいます。
応援とは、子ども自身の道を尊重し、信じること。
自分のペースで、できる範囲で関わりながら見守ることが、一番の応援になるのです。
この記事を読んでいるあなたも、ぜひ「課題の分離」を意識して、
無理のない応援スタイルを探してみてくださいね。
心が軽くなり、家族みんなが笑顔になれるヒントになるはずです。
まとめ
気をもんで疲れてしまう原因は、自分が抱えるべき「課題」と他人の期待や価値観が混ざってしまうことにあります。
そこで大切なのは、「課題の分離」をして、自分と他人の境界線をはっきり持つこと。
さらに、自分の中で「何を優先するのか」を明確にすることで、心の負担を軽くすることができます。
自分ができる範囲で無理なく応援し、周囲の期待に振り回されないこと。
応援は形よりも「気持ち」が大切であり、相手の人生を信じて見守ることが真の応援につながります。
ぜひ「私は私」という意識を持ち、課題の分離と優先順位の整理で、
心が軽くなる応援スタイルを見つけてください。
その一歩が、家族も自分も笑顔になれる未来をつくります。